【管理栄養士監修】ママパパ必見!子どもの成長に関わる食事・栄養の話

子どもの心身の発達を見守る中で、「うちの子、コミュニケーションが苦手かも」「言葉の理解に苦しんでいる気がするな」「発育がゆっくりかも?!」と気になったことはありませんか?今回は、そんな方にもぜひ知っていただきたい、子どもの心身の成長と食事や栄養の関係について、管理栄養士の矢部まり子さんに、特別にお話を伺いました!「子どものために何かしてあげたいな」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お話を伺ったのは管理栄養士・矢部まり子さん
矢部まり子さんは、現在予防医療の分野で活躍されている管理栄養士さん。以前は総合病院にて糖尿病や腎臓病の方への栄養指導や栄養管理を行っていました。
医療予防への転身のきっかけは、ご自身の出産を機に産婦人科クリニックに転職し、そちらで働く中で、妊娠糖尿病や貧血の妊婦さんの多さを目の当たりにしたことだそう。
「栄養状態が悪いとマタニティブルーにもなりやすいと感じた」と矢部さん。さらに、赤ちゃんにはママが摂取した栄養がダイレクトに影響することから、予防医療の道へ進むと決め、現在にいたります。
矢部まりこさんInstagram:@manicoyura
栄養不足が子どもの心身の発達に影響するって本当?
出典:フォトAC
矢部さん「『小さく産んで大きく育てろ』という風潮が広く浸透していた一昔前。まだその考えから抜け出せていない私たちの親世代が多くいること、また痩せ型思考で太ることに抵抗のある妊婦さんが増えたことで現代の子どもたちの出生体重は先進国の中でも低い傾向にあります。しかしイギリスの“胎児バーカー説”によると、妊娠中の低栄養素状態は将来の成人病リスクへ大きく影響することが分かっています」
矢部さん「また現在では、自覚症状がないだけでなく一般的な健康診断や血液検査では見逃されてしまう隠れ貧血の状態の女性が多く、こうした女性が妊娠することによる赤ちゃんへの影響は計り知れないのです。鉄が足りていないと、脳内で生成される神経伝達物質(セロトニンやメラトニン、ノルアドレナリンなど)が十分に作られなくなります。そうすると心配されるのが、メンタル面への影響です。赤ちゃんの場合では、人見知りをしたり眠りが安定しなかったりといったリスクが考えられます」
その他には、ビタミンB群の不足も影響を与えると矢部さんは語ります。
矢部さん「ビタミンB群は脳の神経伝達物質を作るのに鉄とともに必要な栄養素。それが足りなくなることによってもやはり、夜泣きやコミュニケーションに影響する場合も。また少し成長すると、集中力の低下や落ち着きのなさが顕著に見られるようになるケースもあると考えられます」
どのような食材を積極的に摂るべき?避けた方が良い食材はある?
出典:フォトAC
栄養不足が子どもの心身の発達に大きく関わることがわかったところで、ではどのような食材を積極的に摂るべきなのでしょうか?
鉄やビタミンB群不足を補うためには、動物性たんぱく質を意識して摂取してほしいと矢部さんは語っています。
矢部さん「鉄やビタミンB群は、レバーや豚ヒレ肉などの食品に含まれています。忙しかったり、こどもの好き嫌いが出てきたりするとどうしても米やパンなど炭水化物ばかりの食事になりがちな方も多いと思います。しかし糖質の多い食事はビタミンB群の消費に大きく関わることから、まずは毎食たんぱく質をしっかりと摂ることが重要なのです」
タンパク質が多い食材は肉だけではなく魚、たまご、大豆製品もしっかりと意識したいところ。もちろん健康のためには、野菜などバランスの良い食事が大切ですが、栄養療法では主にタンパク質重視の食事を推奨されているそうです。バランスの良い食事は前提に置き、まずはたんぱく質を毎食積極的に摂るように幼少期から心がけてみてほしい、と教えてくださいました。
矢部さん「反対に避けたほうがよいものは、先ほどお伝えした糖質が多いジュースやお菓子などです。糖質過多の食品は、ビタミンB群の消費を促すため脳の神経伝達物質の生成に悪影響を与えてしまう可能性があります。また血糖値を乱高下させることによる様々な不調につながっていることもわかっています。ただ、無理な制限は子どものストレスになるなど成長にも影響しかねません。糖質だけのお菓子は避ける、ジュースは外遊びなどで駆け回る前のタイミングにするなどの工夫を考えましょう」
なお、上記の栄養面における配慮は、多くの子ども共通で言えることです。すでに、発達状態が遅れ気味である場合や困りごとが多い子どもの場合は、このような食事を意識しただけでは改善は難しいかもしれないとのこと。
矢部さん「食事だけでの改善が難しい場合は、サプリメントに頼るのも一つの方法です。ただし、本などに書いてある情報だけの自己判断で栄養素を選んだり、海外製サプリ服用による肝機能障害を発症しているケースも増えてきているため、必ず専門医の指導を受けた上で、適切に取り入れることをおすすめします」
家庭で実践してみよう!矢部さんおすすめのメニュー
※画像はイメージです 出典:フォトAC
ここからは、矢部さんおすすめのメニューをご紹介します。毎食にたんぱく質と聞くと難しく聞こえますが、今作っているメニューにちょい足しする程度から始めるといいでしょう。
矢部さん
オーソモレキュラー栄養医学では腸の健康を損なう“小麦粉”製品はおすすめしない食べ物になります。そのため今回は和食での簡単メニューのご紹介です。
「例えば、豚こまや鯖缶、余った野菜などで炊き込みごはんにしたり、ひき肉で甘辛いそぼろを作って3食丼にしたりするのもおすすめです。手軽に、しらす丼もいいかもしれません」
「具だくさんのスープもお勧めで休日に肉団子をまとめて作って冷凍し、具がなくなったら足すのもOK!豚汁もとても理想の朝ごはんになります」
そのほかにも、おやつは「補食」と考え、食事だけでは摂取が難しい栄養素を補うことを意識するのとよいそう。おやつタイムにすぐにお菓子を与えるのではなく、まずはちくわや魚肉ソーセージなどのたんぱく質を取り入れてから、せんべいなどを与えることで、栄養バランスが整ったおやつになります。
簡単にできるものばかりなので、すぐにでも実践できそうですね。
食事を工夫して、子どもの成長をサポートしよう
今回は、管理栄養士の矢部さんに、子どもの成長に必要な食事や栄養について伺いました。
矢部さんからは「子どもの体調不良やメンタル面の不調には、食事の乱れが関係している場合があります。親が栄養に関する知識を持つことで、家族みんなの健康を守ることにつながるので、ぜひできることから始めてみてください」とメッセージをいただきました。
食事は健康に欠かせないものです。これをきっかけに、食事の見直しをしてみませんか?
気になる方はこちらもチェック▼
矢部まりこさんInstagram:@manicoyura
関連記事はこちら▼
担当ライター