予防接種のスケジュール管理と必要なワクチンは?【2020】

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予防接種のなかには複数回接種しなければならないものが多く、スケジュール管理が必要です。ワクチンはある程度の間隔をあけて接種するため接種を忘れると大変!1種類の予防接種のタイミングがずれると、すべてのスケジュールを変更しなければなりません。今回は予防接種の種類やスケジュール管理について調べてみました。上手な予防接種スケジュールをたてる方法を探している人も参考にしてみてください。

予防接種の種類には何がある?

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予防接種には予防接種法によってさまざまな取り決めがある「定期予防接種」と、自身の判断により接種するかを決め、費用を自己負担する必要がある「任意接種」があります。

そもそも予防接種とは?

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病気にかかると体内で抗体などが作られ、新たに侵入してくる病原体を攻撃する仕組みを免疫といいます。予防接種で使用するワクチンは免疫のシステムを利用し、あらかじめウイルスなどの病原体に対抗できる免疫を作りだします。

定期接種と任意接種の違いは?

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予防接種には2種類あり、それぞれに特徴があります。定期予防接種をうっかり忘れていると、任意接種になる場合もあるので忘れずに接種しましょう。

―定期予防接種とは?
法律などにより接種方法が定められている予防接種。母子健康手帳と住民登録している地域の予防接種券があれば、無料または公費助成で接種することが可能です。しかし、定期予防接種でも、接種対象年齢以外に接種する場合や、接種間隔などが守られていない場合は全額自己負担です。また、予防接種を受けたことによって健康被害が発生しても救済措置を受けられない可能性があります。

―任意予防接種とは?
ほとんどの場合、全額自己負担。医療機関やワクチンの種類よっては高額になることもあり、本当に必要?と悩む人もいるかもしれません。しかし、ワクチンが作られているものは命にかかわる病気が多いといった特徴があります。罹患すると治療費以外にも、子供や家族の負担は大きいでしょう。ワクチンで病気を防ぐことができるのなら有用とも考えられます。任意接種が必要かどうか、各家庭や医師とよく話し合ってみてください。

生ワクチンと不活化ワクチンとは?

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ワクチンにはいくつか種類があります。定期接種と任意接種に主に使用されている、生ワクチンと不活化ワクチンとは何か調べてみました。

―生ワクチンとは?
生きたウイルスなどの毒性を症状がでないよう抑え、体内で免疫を作ることができるまで弱めたワクチンです。自然に病気に感染したように免疫が作られるため、1回の接種で充分な免疫を作ることが可能です。しかし、毒性を弱めているため免疫の力は弱く、数年後に追加で接種をする必要があるワクチンもあります。また、副反応として元の病気の軽い症状がでることも。あらかじめ混合していない複数のワクチンを接種する場合は、27日(4週間)以上間隔が必要です。

―不活化ワクチンとは?
ウイルスなどの毒性を完全になくして、体内で免疫を作るために必要な成分だけ精製したものが不活化ワクチンです。予防接種を受けて病気になることはないですが、1回の接種では充分な免疫が体内にできず複数回の接種をします。初めから混ぜられていない2種以上のワクチンを接種するには、6日(1週間)以上間隔をあけます。

同時接種はしても大丈夫?

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同時接種では1回で体の別の部位に、2種類以上のワクチンを接種します。1種類ずつ受ける場合には、次の予防接種まで一定の期間を空ける必要がありますが、同時接種をすると1度で数種類の免疫をつけることが可能です。同時接種不可能なワクチンはなく、効果や安全性も単独の接種と変わりません。単独接種と比べ、通院回数を減らせたり、受け忘れを防げたりといったメリットもありますね。

1歳で接種するワクチンと忘れがちなワクチンとは?

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日本の赤ちゃんが1歳前後に接種するワクチンはたくさんあります。1歳以降に接種するワクチンと接種回数は、例えばどのようなものでしょうか?

1歳に接種すべきワクチンの種類

1歳のときに接種するのは6種類。それぞれの特徴と接種回数をピックアップしました。

―Hib(インフルエンザ菌 b 型)ワクチン
人から人に飛沫感染するHib(ヒブ)感染症。罹患すると命にかかわったり、脳に後遺症を残したりといった危険がある髄膜炎などを起こすことも。不活化ワクチンで、接種は生後2ヶ月~5歳の誕生日前日まで可能です。全部で4回の接種がありますが、標準的には4~8週間隔で3回の接種を生後5ヶ月までに終えるのが良いようです。

―小児用肺炎(13 価肺炎球菌結合型PCV13)ワクチン
肺炎球菌は乳幼児の上気道に感染し、全身感染症や気道感染症を起こす危険がある病気です。ワクチン接種によって、13種類の肺炎球菌に対する免疫ができます。全部で4回の接種ですが、3回目までは生後2ヶ月~5歳の誕生日前日まで接種が可能です。標準は4週間で3回接種となっている不活化ワクチンです。

―4 種混合ワクチン(DPT-IPV)
4種混合ワクチンは、ジフテリア、破傷風、百日せき、ポリオ(急性灰白髄炎)を予防する不活化ワクチンです。4種類とも命にかかわる病気で、日本では高い予防接種率により自然感染を防ぐことができていると言われています。予防接種スケジュールは、1期を生後3ヶ月以降に3~8週間隔で3回、3回目からおよそ1年経って(生後6ヶ月後以降に接種可能)4回目の接種をします。

―麻しん風しん混合ワクチン(MR)
近年、成人の患者が多い麻しん(はしか)と風しん。成人がかかると症状が重くなることが多く、特に妊娠初期の妊婦は風しんにかかると、赤ちゃんにも危険な影響がでる例があります。麻しんは、発熱や発しんがでる感染力の強い病気です。1期の接種を1歳の間に1回接種する生ワクチンです。

―水痘ワクチン(VZV)
感染力がとても強く、感染した人からの飛沫で感染する水ぼうそう。発熱や水ぶくれなどが主な症状で重症化すると入院する場合も。1歳~1歳3ヶ月までに1回目の生ワクチンを接種します。

―おたふくかぜワクチン(MV)【任意】
発熱と耳下腺のはれが特徴のおたふくかぜは、ウイルスが全身の臓器など侵して合併症をおこす可能性があります。標準の予防接種スケジュールでは、1期を1歳時に接種することとなっています。おたふくかぜは生ワクチンで任意接種の予防接種です。地域によっては公費助成がある場合もあるので、よく調べてみるのがおすすめです。

忘れがちな1歳以降のワクチンの種類

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続けて予防接種をするのは大変ですが、忘れることも比較的少ないですね。予防接種ラッシュを過ぎて思わず忘れてしまいそうなワクチンをピックアップしました。

―麻しん風しん混合ワクチン(MR)
1期の接種は1歳時に行う麻しん風しん混合ワクチン。2期は、小学校入学の前年(幼稚園、保育所児の最年長児など)に1回接種します。

―水痘ワクチン(VZV)
水痘ワクチンは1歳~1歳3ヶ月までに1回目を接種しますが、2回目は最低3ヶ月以上の間隔をあけて接種する必要があります。これは、しっかりと水ぼうそうに対する抗体をつけるためです。標準的な予防接種スケジュールでは6ヶ月~1年ほど間隔をあけることとなっています。

―おたふくかぜワクチン(MV)【任意】
諸外国では、2回接種が基本のおたふくかぜワクチン。1回目から数年あけて2回目を受けると、しっかりと免疫がつくとされています。予防接種のスケジュールに組み込むなら、5歳~7歳(小学校就学前)の接種予定にするのがおすすめです。

―Hib(インフルエンザ菌 b 型)ワクチン
Hibワクチン4回目の接種は、3回目から約7ヶ月~13ヶ月後です。1歳を超えたら4回目の予防接種をするようにスケジュール管理をしましょう。

―小児用肺炎(13 価肺炎球菌結合型PCV13)ワクチン
3回目までは生後2ヶ月~5歳の誕生日前日までに接種する小児用肺炎ワクチン。生後12~15ヶ月未満に4回目の接種をすることになっています。5歳以上6歳未満は任意接種となります。

予防接種の管理に便利な「マイスケジュール」とは?

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育児やお仕事で忙しい日々を過ごしていると、たくさんの予防接種のスケジュール管理をするのは難しくありませんか?そんなときはエクセルで予防接種用カレンダーを作ったり、簡単に予防接種スケジュールを作れる自動計算システムを使ったりすると良いでしょう。

生年月日だけで予防接種スケジュールが作れる

ワクチン.net(https://www.wakuchin.net/my_schedule)というサイトは子供の生年月日を入力すると、専用の予防接種スケジュールを作ることが可能。ワクチンごとに標準的な接種時期や回数が表示され、予防接種の計画をしたり接種がもれていないかを確認したりするのに便利です。

エクセルで「ワクチン接種用カレンダー」を作る

エクセルが使用できる場合は、自分で予防接種スケジュール表を作るのもおすすめです。全てをひとりで作るのは自信がないという場合は、予防接種スケジュールのエクセル用テンプレートや、病院や自治体の提供しているPDFファイルを利用するのも良いでしょう。

予防接種のスケジュールがずれたときの対処法は?

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予防接種を忘れていたときは、気付いた時点で早めに受けましょう。最初から受け直す必要はなく、前回の接種から大きく離れていても規定回数を接種すると効果は期待できます。体調不良で接種できなかった場合なども医師に相談してください。

予防接種スケジュールは念入りに!

予防接種は、子供の命を守ることにつながります。スケジュール管理をしっかりとして、忘れずに接種しましょう。定期予防接種や任意予防接種など何が必要か考え、できるだけ早く病気に対する免疫をつけ、感染リスクを下げることが必要です。

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担当ライター

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