親子2世代、4冊の母子手帳が語る、子育てのミニヒストリー

わが家には2人の子どもと私たち夫婦それぞれ、合計4冊の母子手帳があります。古ぼけた母子手帳を開くと、私の母親が悩んでいたこと、夫の母親が困っていたことが伝わってきて「苦労をかけたな~」としみじみ。数十年の間に「日光浴をさせましょう」という項目がなくなったり、予防接種の種類が増えたりと、いろいろな変化も。新旧の母子手帳を比較して、子育ての変わったこと・変わらないことを考えてみました。

4冊の「母子手帳」を比べてみた!

母子手帳(正式には母子健康手帳)のもとになったのは、昭和17(1942)年にスタートした「妊産婦手帳」。その後、昭和23(1943)年に「母子手帳」、昭和40(1965)年に「母子健康手帳」と名称を変え、何度も様式を改正しながら発展してきました。
平成30(2018)年は、「母子手帳」の配布からちょうど70年目の節目の年。ママと子どもの健康を見守り続けてきた母子手帳は、すぐれた母子保健のツールとして、今ではインドネシアやアフリカなど、海外でも普及活動が行われているそうです。
私の手元にある4冊の母子手帳のうち、私と夫の2冊が昭和50年代(1970年代後半)の発行で、子どもの2冊がそれぞれ平成22(2010)年と平成28(2016)年の発行です(夫以外は広島の自治体が発行したもの)。表紙のデザインに時代の変化を感じますが、パッと見て気付くのは、2016年版の表紙が「親子健康手帳」になっていること。実は一時期、母子手帳を「親子手帳」に改名しようという動きがあったそうで、結局改名は見送られたものの、一部の自治体で今も通称として使われているようです。

予防接種の種類が増えた!

新旧2世代で大きく変化しているのは、予防接種(ワクチン)の種類です。
夫や私の手帳を見ると、1970年代当時、公費で受けられる定期接種は「BCG」「ジフテリア・百日咳・破傷風混合(1.2期)」「ジフテリア3期」「種痘(天然痘)(1.2期)」「急性灰白髄炎(ポリオ)(1.2期)」のみ。それ以外のワクチンは任意接種(つまり自己負担)だったため、手帳に記載すらされていません。近年風疹やはしかが大流行しているのは、その当時接種を受けなかった人が多いためだと言われています。
一方2016年版を見ると、定期接種に「水痘(水ぼうそう)」「日本脳炎」「麻疹・風疹(MR)」「小児肺炎球菌」「インフルエンザ菌b型(Hib)」が加わり、ポリオは生ワクチンから不活化タイプに変更されています。加えて、任意接種である「おたふくかぜ」「ロタウイルス」「B型肝炎(HBV)」の記入欄も設けられ、接種が推奨されていることが伝わってきます。ちなみにわが子は2人とも任意接種をほぼコンプリートしていますが、万単位でお金が飛んでいきました…。子育て世帯は何かとお金がかかるので、今後はぜひ定期接種化してほしいものです。

「日光浴」がNGに

もう一つ、大きな変化があったのは「日光浴」の取り扱いです。夫の手帳には「元気な赤ちゃんを育てるためには、きれいな空気と十分な日光が必要です」と書かれており、私の手帳にも「外気浴や日光浴をさせていますか」というチェック項目がありました。しかし、紫外線の害が知られるようになった今、子どもたちの手帳には「日光浴」の記述がなく、「外気浴をさせていますか」というチェック項目のみ。子育ての常識も、数十年もたてば変わる可能性があるということがよくわかります。私たちが今、常識だと思っていることも、もしかしたら将来変わってしまうかもしれませんね…。

母乳は今も昔も「推奨」

母乳育児は、新旧どちらの世代でも同じように推奨されています。「赤ちゃんにとって母乳は最もよい栄養です」「新生児には母乳が第一です」など、表現こそ違いますが「おっぱいが一番!」というのは、今も昔も変わらないようです。
異なっているのは「人工乳(粉ミルク)」の扱い。夫の手帳には「母乳が不足しているときは医師に相談しましょう。かってな人工栄養は失敗のもとです」と書かれ、少々強引な表現が気になりました(失敗って何??)。今では、母乳が足りないときや母親の病気や薬の影響を考慮する必要があるとき、昼間母親が仕事をしているときなどは「人工乳(粉ミルク)で補ってもよいでしょう」とあり、母親側の事情にも配慮された表現に変わっています。

「食が細くて心配」「おしめが取れない」…実母のメモにしみじみ

時代を反映して、内容が少しずつ変化してきた母子手帳。親世代の手帳が50〜70ページしかないのに比べ、子どもたちの手帳は120ページ前後あり、内容の充実度は比べものになりません。この数十年間に積み重ねられてきた、医学の進歩や子育てのノウハウなどが、このページ数に凝縮されているのだと思うと、なかなか感慨深いですね。
私の手帳に書かれた母の育児メモを読むと、「便秘がひどい」「オムツ替えをいやがる(特に夜がひどい)」「夜泣きがひどい」など、まあとにかく、いろいろひどかったことがわかり、思わず実家に向かって土下座したくなりました(笑)。私自身も手帳に似たようなグチを書いた記憶があり、新米ママの悩みは時代が変わっても同じなんだなと、しみじみ感じます。
みなさんもぜひ一度、ご自分の母子手帳を手元に取り寄せて、お子さんの手帳と比べてみてくださいね。

 

参考サイト

  • 厚生労働省「母子健康手帳について」

https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku/index.files/koufu.pdf

  • 母子手帳国際会議

http://www.hands.or.jp/

  • 親子手帳の名称について

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0704Z_X01C11A0000000/

担当ライター