双子を普通分娩⁉帝王切開しなかった私の双子出産

この記事をシェアする

双子の出産は帝王切開が一般的。そのため、双子を妊娠した当時は「私も帝王切開なんだ♪」とのんびり身構えていました。しかし実際に私が出産したのは帝王切開ではない「普通分娩」。双子って普通分娩できるの?陣痛は2回来るの?どのくらい時間がかかるの?と、出産後によく尋ねられた双子普通分娩の疑問を、私の体験談を交えて答えていきたいと思います。

28週、双子普通分娩決定

妊娠14週のころ、お腹の赤ちゃんが二卵性双生児であることが分かり、広島の個人産院に通っていた私は他県のI総合病院に転院しました。産後はしばらく実家のお世話になる予定であったため、実家から近く、NICU完備で何が起きても処置できる設備の整ったI総合病院は私にぴったりの病院です。

この病院では何度も双子出産が行なわれていて、知り合いの双子ママもI総合病院で出産したとのこと。その双子ママは帝王切開だったので、私も時期が来たら入院し、予定帝王切開で出産するのだと思っていました。
しかし、妊娠後期に入る28週。担当の産科医から「普通分娩で行くけど、いいよね?」と告げられます。「普通分娩!?」と聞き返す私に、そのI総合病院が決める基準に満たした多胎児妊婦は、普通分娩で行く方針を取っていると丁寧に教えてくれました。

・二卵性双生児であること
・二人とも逆子でないこと
・妊娠中、母体と胎児両方に目立ったトラブルがないこと

この他にも経産婦であれば、逆子でも希望すれば普通分娩可能であったり、上記を満たしていても先生が思うところにより、「帝王切開で行こう」と決定したりすることもあるそうです。これは、あくまでI総合病院の方針であり、リスク軽減のためにすべての双子出産を帝王切開で行なう病院もあります。I総合病院では普通分娩は産後の母体回復が早いと考えており、双子でも普通分娩を推奨しているとのことでした。
私は28週まで健診を受け、逆子になる様子もないので普通分娩が決定。このときから「双子って普通分娩できるの?」と自問自答する日々が始まります。

33週、切迫早産で入院

安定期のない双子妊娠。これまで激しい動きは控えて、安静を心がけていました。普通分娩となると、陣痛を起こすために動かなきゃいけないのかな?安産のためにストレッチをするべき?など、いろいろな疑問が浮かんだことを思い出します。さらに当時は「双子を普通分娩した」という経験を語る情報をネットで見つけられず、検索しても分からないことだらけで戸惑っていました。
そうこうしているうちに、意識的に動きすぎてしまったのかお腹の張りが頻回になり、33週で「切迫早産」の診断を受け入院。34週まで子宮収縮抑制薬である「ウテメリン」を24時間点滴で投与されました。このウテメリン投薬が終わった直後に本陣痛が始まることが多いため、34週から管理入院が始まります。
入院中は暇ではありましたが、毎日エコーで双子を見られるし、思う存分ゆっくりできたのでラッキーでした!DVDプレイヤーで「魔女の宅急便」を流しては、「オソノさんのように安産でありますように」と祈っていたことを思い出します(笑)

35週、ついに第1子破水

35週3日目の真夜中、尿もれの感覚で目が覚めました。もしかして…と思ってナースコールをすると、なんと第1子となる子宮口に近い方の子が破水!すぐに荷物をまとめて、入院していた病室から数メートル離れたLDR(陣痛分娩室)へ移動。いつお腹が痛くなるのかな?と不安になって、全身がガタガタ震えたのを覚えています。夜中の2時でしたが夫は広島からすぐに駆けつけてくれて、それからずっと立ち会ってもらいました。

それから朝が来ても陣痛が付かず、むしろ余裕でご飯を食べたり景色を眺めたり…夫と最後のツーショット写真を撮ったり。本陣痛を起こすために浴びたシャワーをきっかけに、ついに第1子の出産が始まります。とてつもない痛みに、当時のことはあまり覚えていませんが、「とにかくオペラ歌手のように歌っていた(笑)」と夫が言っていました。
私は歌った覚えはひとつもないのに…。出産は不思議です。

2回目の陣痛!挫けそうになる第2子出産

3時間ほど陣痛と闘って第1子の息子を出産。産んだ瞬間は、達成感と息子のかわいさに痛みも忘れていました。早産であるためNICU搬送が決定していましたが、助産師さんが息子を私の顔の近くに連れてきてくれました。わー、かわいい!と、抱っこしようと思ったときにまたものすごい痛みが…。2回目の陣痛でした。
後で聞きましたが、双子は1人目の出産よりも2人目の出産の方が難しく、場合によっては帝王切開に切り替えることもあるそうです。LDRはたくさんの助産師さんと3人の産科医、見学に来た医学生さんや麻酔科医・小児科医、私の家族で満員。
1人目の出産を終えた私は心が折れかけていて、「もう明日にしませんか!?」と叫んでいました。
冷静に「ダメだよ、今日出そうね」と、助産師さん…。
時間にすると第1子と第2子の間は15分しか離れていませんが、私にとっては何時間にも思えるほどだったと記憶しています…。陣痛が始まってから3時間30分、第2子の娘も無事生まれてきました。LDRに入ってからは15時間。長丁場の出産でした。
中には2人の間がなく生まれる出産もあるようですが、私は陣痛をバッチリ2回経験しました。どちらが辛かったか、と言われればどちらも辛く、けれどもどちらも生まれてきた瞬間は感動して我が子のかわいさに痛みを忘れました。

よく出てきてくれました。二人ともありがとう!

トラブルもなく双子の普通分娩を終え、達成感はありましたが一つだけ今でも悔やまれるのが、双子を早産で出産してしまったということ。NICUに入り、チューブに繋がれた二人を見るたび、「お腹の中で十分に育てられなくてごめんね」と落ち込んだのを覚えています。
そんなとき、助産師さんが

〇〇(私)さんの出産は、赤ちゃんが出たいという気持ちと、ママが出したい!と思う気持ちが重なったときに起こったんだと思う。いい出産だったよ

と声をかけてくれました。この言葉は、双子が1歳半を過ぎた今でも私の励みになっています。

早産でも、小さく生まれても、帝王切開でも普通分娩でも、とにかく無事だったので花マル。
2人ともよく出てきてくれました。ありがとう!
これからも双子育児、気合を入れて頑張りたいと思います。

担当ライター

この記事をシェアする