幼稚園や保育園に行きたくない!子どものメンタル不調への対処方は?

5月、6月は、新しい環境に慣れようと頑張りすぎて、疲れが出やすい時期です。「幼稚園や保育園に行きたくない」と、いつもとは違う様子を見せるお子さんに、戸惑っている保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。今回は、長年多くの子どもたちと向き合ってきたpeekaboo幼稚舎園長の田上恵先生に、この時期に起こりやすい子どものメンタル不調と、その対処法についてのお話を聞いてきました!子どもの「行きたくない」にお困りの方は、参考にしてみてください。
お話を聞かせてもらったのはpeekaboo幼稚舎園長 田上恵先生
子どものメンタル不調への対処法についてお話を伺ったのは、広島市安佐南区にあるpeekaboo幼稚舎の園長、田上恵先生です。同園では、ニュージーランド発祥の「テファリキ」教育を基盤に、子どもの主体性を重んじる独自のカリキュラムを展開。遊びを通して「非認知能力(人間力)」を育み、子どもたちの個性を最大限に引き出すことを目指しています。多くの子どもたちと向き合ってきた経験から、子どもの心の変化と対処法について教えていただきました。
5・6月はいつもと様子が違う子どもが増えることがある?
出典:photoAC
田上恵先生「そうですね。環境が大きく変わる園ではないとしても、毎年この時期になると2~3人のお子さんが、いつもと違う様子が見られるように思います」
こうした子どもたちの変化は、園では見られずに保護者からの相談で分かる場合も多いそう。たとえば、以下のような変化が見られることがあるといいます。
・園に行きたくないと言う
・怒りっぽくなる
・ちょっとしたことでイライラする
・我慢ができなくなる
・いつもより甘えてくる
・不安になり、今まで一人で行けていた場所にも行けなくなる
田上恵先生「こういったご家庭での変化が見られる一方、園では楽しんで過ごしているお子さんが多いものです。ご家庭での様子を伺うことで、私たちは『頑張っている分、環境の変化に敏感な子なんだな』と理解し、積極的に声かけをするなど、園としても対応することができます」
万が一、お子さんにこのような変化が見られたら、園の先生に相談するのが大切。園と家庭が連携することで、子どもも安心して過ごせるようになる、と田上先生。
「行きたくない」にどう応える?保護者ができる子どものメンタル不調への具体的な対処法
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子どものメンタル不調は、保護者の方にとって心配なものですよね。とくに環境の変化が大きい時期には、子どもにいつもと違う様子が見られることがあります。そんなとき保護者としてどのように対応すればいいのか、いくつか大切なポイントを教えていただいたので、ご紹介します。
・不安な気持ちを受け止めて理解してあげる
まず最も大切なことは、子どもの不安な気持ちをしっかりと受け止め、理解してあげること。私たち大人が「些細なこと」と感じるような変化でも、子どもにとっては「大きなこと・いち大事」であると捉えてあげましょう。例えば、引っ越しや転園のような大きな変化でなくとも、先生が変わった・新しい友達が入ってきた・年長さんが卒園したといったことでも、子どもはストレスや不安を感じる場合があります。
そんなときは、「今、心が成長している」と温かく見守り、その気持ちを理解してあげることが何よりも大切です。子どもが「お母さん・お父さんは自分の気持ちを分かってくれている」と感じることで、不安な気持ちはきっと和らいでいきます。
・家での様子を園と共有する
子どもの変化に気づいたら、家庭での様子を積極的に園と共有することも非常に大切です。園で頑張っている子どもの場合、その反動が家庭で出やすいもの。例えば、「朝、園に行きたがらない」「怒りっぽくなった」「甘えん坊になった」など、どんな些細なことでも構いません。
園の先生は、ご家庭での様子を知ることで、子どもたちが園でどのように過ごしているか、どんなサポートが必要かをより深く理解できます。園と家庭が連携し、情報共有を密にすることで、子どもへのより適切な対応が可能になります。
・休日はお家でゆったり過ごす時間を大切にする
園生活で頑張っている子どもたちにとって、休日はお家でゆったりと過ごす時間を大切にすることが、心のエネルギーチャージに繋がります。子どものペースに合わせてリラックスできる時間を作りましょう。
無理に外出せず、家で好きなことをする、家族でゆっくりと過ごすといった時間も大切です。心身の休息を十分に取ることで、次の週からの園生活に前向きに取り組む力が湧いてくるでしょう。
・好きな遊びや没頭できる時間を意識してつくる
子どもが好きな遊びや、時間を忘れて没頭できる時間を意識してつくるのも良い方法です。好きなパズルをずっとする、モノづくりが好きな子には思いっきりモノづくりをさせてあげるなど、子どもが心から楽しめる活動に集中する時間を提供しましょう。
好きなことに打ち込む時間は、ストレスの軽減に繋がり、心が満たされます。子どもの「これが好き!」の気持ちを大切にすれば、心の安定に繋がります。
【NG行為】「行きたくない理由」を問い詰めすぎず前向きな声かけを!
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子どもが幼稚園や保育園に行きたがらないとき、ついつい「何が嫌なの?」と、理由を問い詰めてしまいませんか?しかし、行きたくない理由を深く掘り下げる声かけ、実はNG行為です。理由を聞きすぎることで、子どもは「何か嫌なことを言えば行かなくてもいいんだ」と考えてしまい、ネガティブな気持ちを助長する可能性がある、と田上先生。
「行きたくない」という子どもの気持ちに寄り添いつつ、無理に理由を聞かずに前向きになる声かけを心がけましょう。例えば、「今日、園で何が楽しかった?」と園での楽しい出来事を聞いたり、「明日、園で何してみたい?」と楽しみを見つけられるような話をしたりするのがおすすめです。
子どもの「行きたくない」は、焦らず見守り、気になることは園へ相談を!
新しい環境での頑張りは、お子さんの成長の証でもあります。もし、いつもと違う様子が見られても、焦らずにお子さんの気持ちに寄り添いながら、ゆっくりと見守ってあげてくださいね。あわせて、もしお子さんのことで気になることがあれば、一人で抱え込まず、幼稚園や保育園の先生に相談してみましょう。
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担当ライター