尾道・山波小の子どもたちが地元、松永湾について学習!今注目の、ブルーカーボンとは?

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11月24日、尾道市の山波小学校で実施されたのは、ちょっと珍しい特別授業!5年生の子どもたちが、地球温暖化対策で注目の「ブルーカーボン」について学びました。実はこの授業、尾道・松永湾で進行中の干潟再生活動「令和の里海づくり」の一環なんだとか。ブルーカーボンの授業というと難しそうに聞こえますが、はたして山波小の子どもたちはどんな反応だったのでしょうか?ぜひご覧ください♪

尾道・松永湾で進行中の「令和の里海づくり」に注目!

尾道市の東側に広がる里海、松永湾。広島で育った人の中には“山波のアサリ”の産地として知っている方もいるかもしれませんね。しかし、松永湾でアサリがたくさん獲れていたのはもう何年も前の話。今ではアサリだけでなく、広い干潟に住み着いていたたくさんの生き物たちも姿を消してしまったんだそう…。

そんな松永湾に活気を取り戻そうと、地元の人々が10年ほど前から地道に進めているのが「干潟再生」の活動。今年度からは環境省のモデル事業「令和の里海づくり」への参加も決まり、ますます盛り上がってきているんです!

「令和の里海づくり」とは、全国の内湾・内海を生き物の生育場として整え、海の保全・再生を進めることを目的とした国の事業。尾道市の松永湾でも、干潟をアサリの生育場として整えるところからスタートしました。さらに、浅瀬に藻場を再生させるため、「アマモ」という、海の底に生える“海草”の生育にも取り組んでいるそうです♪
さて、ここまで聞くと「かつてのアサリ漁場を復活させたいのは分かるけど、どうしてアマモの生育も必要なの?」という疑問がわいてきませんか? そんな疑問について子どもたちが学んだのが、先日、地元の山波小学校で実施された特別授業なんです♪

どうしてアマモを育てるの?地元・山波小で「ブルーカーボン」特別授業を実施!

11月24日、尾道・松永湾「令和の里海づくり」の一環として、地元の山波小学校で5年生を対象に特別授業が行われました。

授業テーマは、注目の地球温暖化対策「ブルーカーボン」について。5年生の子どもたちには、ちょっと難しすぎる気もしますよね…?実際に、クラスの中でもブルーカーボンについて知っている子はなかなかいないようでした。
しかし、松永湾の干潟再生活動を語るうえで、ブルーカーボンは避けては通れないもの。アマモの生育も、このブルーカーボンに大きく関係しているんです。

そもそも「ブルーカーボン」って?

「ブルーカーボン」については、知らない方も多いはず。まずは簡単に説明しましょう♪

地球上で日々排出されるたくさんの二酸化炭素は、地球温暖化の主な原因として問題になっていますよね。二酸化炭素の一部は陸上や海上へ流れ、さまざまな生き物の光合成によって取り込まれています。このうち、海へ流れ、海中の生き物に吸収される炭素を「ブルーカーボン」といい、炭素を吸収する生き物は「ブルーカーボン生態系」と呼ばれます。陸上でも同様に、吸収される炭素を「グリーンカーボン」、炭素を吸収する生き物を「グリーンカーボン生態系」と呼んでいます。
注目すべきは、グリーンカーボン生態系に比べ、ブルーカーボン生態系による二酸化炭素吸収率の方が高いこと!そのため、ブルーカーボン生態系は高い効果の期待できる地球温暖化対策として、世界中で話題を呼んでいます

ブルーカーボン生態系として注目される「アマモ」

ブルーカーボン生態系にはさまざまありますが、その多くが海の沿岸域に生息しているんだとか。松永湾の干潟で生育されているアマモも、実はブルーカーボン生態系のひとつ。つまり、アマモ場がどんどん広がり、吸収される二酸化炭素量が増えれば、地球温暖化の緩和に大きく貢献できるということですね♪
ただ、アマモが注目されているのは、ブルーカーボンだけが理由ではないんです…!

写真の中の、ゆらゆらとした海草がアマモ。砂の多い海の浅瀬に生えていて、葉の長さは0.5~1メートルにもなります。海の底に生い茂ったアマモの葉の間は、海の生き物の産卵場や稚魚の成育場にぴったり。そのため、アマモには“海のゆりかご”という呼び名もあるんだとか。 さらに、アマモが海中の有機物を栄養として取り込むことで、水質浄化も進むといわれています。松永湾にアマモが増えれば、数年後にはたくさんの生き物が住み着く、透明度の高い海になるかもしれないんです。

ブルーカーボンの話を聞いた子どもたちの様子は?

実は、山波小学校での特別授業は、今回で2回目。1回目の授業では、松永湾の現状について学んだそうで、すでに子どもたちの中に「松永湾を何とかしないと!」という気持ちが芽生えているようでした。そのせいか、聞きなれない「ブルーカーボン」にも、興味津々…!みんなこの日の特別授業を楽しみにしていたそうです♪ 講師は、干潟での活動にも参加されている三戸さん。三戸さんは、地質調査の専門家として、松永湾の干潟の土が生き物にとって住みやすい状態になっているか度々調べているそうです。

まずは、アマモについて解説!「アマモってどんな草?」「海の中で増えるとどんな効果があるの?」といった疑問を、三戸さんが分かりやすく教えてくれます。 ときどき、三戸さんが子どもたちへ質問を投げかける場面も。難しい内容ではありますが、みんな真剣に考えていました。 普段だったら、子どもたちにとって“地球温暖化”は途方もなく大きな問題すぎて深く考えられないかも。それが松永湾という身近な海を通してなら、より“自分ごと”として考えやすいのかもしれませんね♪

授業の中では、地球環境にとって、そして松永湾の干潟にとってうれしい効果をもたらすアマモが年々減少しているという話も…。子どもたちと「どうしたらアマモ場を増やすことができるのか?」について、意見を出し合います。今回の授業を通して、子どもたちにもアマモを増やす活動の大切さがしっかりと伝わっているようでした!

授業後半ではアマモの種植えに挑戦!

授業の後半では教室を飛び出し、実際に子どもたちがアマモの種植えに挑戦

初めての体験に大盛り上がりの子どもたち。授業後半の様子については、次の記事で詳しくお伝えします!ぜひお楽しみに♪

尾道・松永湾「令和の里海づくり」では、今後も出張授業や干潟再生活動を予定!

10月に行われた作業の様子

尾道・松永湾の「令和の里海づくり」では、さまざまな干潟再生活動が計画されている真っ最中!10月に実施されたアサリサイト造成作業は、pikabuでも詳しくご紹介しました♪

今後もアサリサイトの造成作業は、地元で参加者を募りながら続けていく予定とのこと。さらに来年2024年1月には、山波小で3回目の出張授業が予定されています。松永湾の干潟にたくさんの生き物が戻ってきて、どんどん豊かな海へと再生していく様子を想像すると、ワクワクしてきますね♪これからの活動にもぜひご注目を!

今後もたくさんの活動を予定!尾道・松永湾の「令和の里海づくり」に注目を♪

今回の特別授業は、子どもたちにとって地元・松永湾のことをきっかけに、地球環境について深く考える貴重な時間になったはず。親としては、わが子にもぜひ受けてもらいたい授業ではないでしょうか。松永湾は尾道の人にとってはもちろん、広島に住む人にとっても大切な里海。ぜひ、尾道・松永湾の干潟再生活動「令和の里海づくり」の今後の活動も、楽しみにしていてくださいね♪

【尾道東部漁業協同組合】 

所在地

〒722-0062広島県尾道市向東町12635番地の2

電話番号

本活動に関するお問い合わせは以下までお願いします。

お問い合わせ先:ひろぎんエリアデザイン(株)淺野

080-9954-7837

担当ライター

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