【尾道・令和の里海づくり】山波小の5年生がアマモの種植えを体験!松永湾の未来につながる特別授業に注目

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2023年11月、尾道市の山波小学校で行われたのは、アマモの種植え体験!…そもそも「アマモってなに?」という方もいるでしょう。アマモとは、美しい海の浅瀬に生い茂る海草の一種。尾道・松永湾では「令和の里海づくり」の一環として、アマモ場再生が進行中なんです。今回は、なぜ松永湾でアマモを増やそうとしているのか、その理由もご紹介!なかなか目にする機会のないアマモの種植え、ぜひ子どもたちの楽しそうな様子と一緒にご覧ください♪

尾道・松永湾では今、干潟再生活動「令和の里海づくり」が進行中!

尾道市の東側にある松永湾は、地元の人々に愛される里海。以前は広い干潟を活用して、アサリ漁や潮干狩りが盛んに行われていました。しかし、1990年代以降からはだんだんとアサリが獲れなくなり、干潟の生き物も姿を消してしまったといいます。

そこで、10年ほど前から地元の人の手によって続けられてきたのが干潟再生活動!一時は停滞していたものの4年ほど前にリスタートを切り、今年度からは環境省のモデル事業令和の里海づくりにも参加が決まりました!
「令和の里海づくり」の目的は、瀬戸内海のような内湾・内海で、生き物の生育場や水質浄化の保全・再生を進めること。今では、子どもから大人まで参加する一大プロジェクトになっています。

干潟再生の主な活動としては、アサリサイトの造成もそのひとつ。定期的にアサリの稚貝を干潟に撒いたり、生き物が住み着きやすい環境へと整えたりしています。そして、松永湾の浅瀬では「アマモ」の生育場である藻場の再生も進行中。だんだん減りつつあるというアマモ場の復活を目指し、地道な活動が続けられているんです。

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地元・山波小学校の子どもたちがアマモの種植えに挑戦♪

2023年11月24日、松永湾の目と鼻の先にある山波小学校では、5年生を対象にアマモについて学ぶ特別授業を実施!地球温暖化対策として話題の「ブルーカーボン」をテーマに、松永湾のアマモ場再生について学ぶ盛りだくさんの内容でした。

どうしてアマモを育てるの?まずは「ブルーカーボン」について学習!

アマモ場再生は、尾道・松永湾の「令和の里海づくり」にとって大事な活動のひとつ。ただ、子どもたちの中には「どうしてアマモを育てることが松永湾の再生につながるの?」と、疑問を持つ子も多いようです。そこで、授業の前半ではアマモがもたらす効果について学ぶところからスタートしました。

アマモは海の浅いところに生える海草の一種。水質浄化作用があるため、アマモの多い海は透明度が高くなるといわれています。また、アマモの長い葉の間は、小さな魚や稚魚が天敵から身を隠すのにぴったりの場所。そのため、“海のゆりかご”という呼び名もあり、生き物の生育場としての役割も期待されています。

しかし、アマモのスゴさはそれだけではありません!なんと、地球上で排出された二酸化炭素の一部を取り込み、地球温暖化を緩和させる効果もあるんだとか。こうしたアマモのような働きを持つ海の生き物は「ブルーカーボン生態系」と呼ばれ、世界中で注目を集めています。

松永湾のアマモ場再生は、水質浄化生き物が育ちやすい環境が整うだけでなく、地球環境のためにもなる活動なんですね!

▼授業前半の様子は、こちらの記事で詳しく紹介しています!

アマモを植える理由が分かったら…いざ種植えに挑戦!

アマモを増やすことが松永湾のため、そして地球環境のためになると知った子どもたち。授業の後半は学校のプールサイドへ移動して、実際にアマモの種植えに挑戦します♪

まずは、アマモを植える土づくりから。腐葉土と川砂をポッドの中に入れて、人工海水で湿らせます。

子どもたち一人ひとりが1つずつポッドを手に取り、目印として自分の名札を土に立てていました。自分の名前のついたポッドなら自然と愛着がわき、育てるのが楽しくなりそうですね♪

さて、準備が整ったらいよいよアマモの種植えに挑戦
1つのポッドに5粒ずつ植えていきます。

アマモの種は手のひらに載せるとこのくらいの大きさ。成長すると0.5~1メートルほどになりますが、種はうっかり見逃してしまいそうなほど小さいんですね。

小さなアマモの種を落とさないように、そっと植えていきます…!

普通の種植えならこれで完了ですが、アマモは海草。そのため、種を植えたポッドは人工海水の中で育てないといけません。所狭しと並んだ40人分のポッドで、トレーの中はいっぱいになりました!

アマモが無事大きく育ったら、松永湾へ植え替え予定♪

今回、種植えしたアマモは、このまま春頃まで子どもたちが育てるそうです。その間、人工海水の塩分濃度をチェックするのも大切な役目。トレーの水が蒸発すると塩分が濃くなりすぎてしまうので、2週間に1度は満水にして調整します。アマモにとって育ちやすい環境を整えるのもまた、子どもたちの貴重な経験となるはず!

そして、アマモの葉や根がしっかり伸びて、ある程度の大きさに育ったら、松永湾の浅瀬に植え替えをします。子どもたちが丁寧に育てたアマモが松永湾の未来につながるなんて、とても素敵な計画ですね

アマモの授業に参加した子どもたちの感想は?

今回の授業に参加した子どもたちからは、こんな声がありました!

授業をきっかけにして、アマモやブルーカーボンについて知ることができた
アマモ場再生には、種を植えて増やすことが大切だと分かった
松永湾のアマモ場再生についてもっとたくさんの小学生に知ってもらって、一緒に取り組めたらよいと思う

 

クラスの大半が、アマモやブルーカーボンを知らない状態から始まった今回の授業。子どもたちにそれらを知ってもらえたことは、大きな成果といえそうです。

また、今回の授業のように身近な松永湾を通してなら、ちょっと難しいブルーカーボンの話も理解しやすかったのかもしれませんね。自ら種植えをしたアマモには早速愛着がわいたようで「アマモの苗が無事に育って欲しい!」という声もありましたよ♪

尾道「令和の里海づくり」では今後も出張授業や干潟再生作業を計画中!

山波小での特別授業は、2024年1月にも引き続き開催予定とのこと。次回はどんな内容の授業になるのか、子どもたちの反応が楽しみですね♪

また、干潟での現地作業も地元の人々の手によって、積極的に続けられていくそうです。アサリサイトの造成アマモ場の再生など、尾道・松永湾の「令和の里海づくり」もますます軌道に乗っていくことでしょう。いつか松永湾の干潟で潮干狩りができたら…という夢もふくらみます!

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【尾道・令和の里海づくり】今後のアマモ場再生活動にもご注目を!

未来の美しい松永湾につながるアマモを自分たちの手で種植えする作業は、子どもたちにとって貴重で楽しい経験となったはず。実際に、子どもたちも自分の名札のついたポッドをうれしそうに眺めていました。今回植えたアマモは、これから時間をかけてスクスクと成長し、いつか松永湾の海へ巣立っていきます。その頃には、きっと干潟のアサリも今より増えていることでしょう。ぜひこれからの松永湾の変化にも注目してくださいね♪

【尾道東部漁業協同組合】

所在地

〒722-0062広島県尾道市向東町12635番地の2

電話番号

本活動に関するお問い合わせは以下までお願いします。

お問い合わせ先:ひろぎんエリアデザイン(株)淺野

080-9954-7837

担当ライター

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