被爆80年。子どもと読みたい平和・戦争・原爆の絵本8選

2025年は、広島・長崎が原爆を受けて80年。終戦から80年の年です。戦争や平和、原爆に関する資料や本はたくさんありますが、子どもと一緒に読めるものを選ぶのは、なかなか難しいですよね。そこで、筆者が2歳の子どもと実際に読んだおすすめの絵本を紹介します。それぞれ簡単なあらすじや感想などを紹介するので、本を選ぶ際の参考にしてみてください。
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被爆80年の今、読みたい絵本8選
広島・長崎が原爆を受けて今年で80年。8月6日は、広島に原爆が投下された日です。
筆者の娘は、一昨年の8月6日に産まれました。「広島の多くの人が犠牲になった日に生まれた娘には、戦争の愚かさや平和の大切さを伝えたい」そんな思いで、平和・戦争・原爆に関するおすすめの絵本を8冊選定しました。
平和・戦争に関して考えを深められる絵本4選
最初に、平和や戦争に関して描かれている絵本を4冊紹介します。子どもだけでなく、大人が読んでも衝撃を受けるものをピックアップしました。
結末に衝撃を隠せない「ねんどの神さま」
終戦して1年。親や兄弟を戦争で亡くした小学生の健一は、ねんど作品を作る授業で、「戦争犯罪人を懲らしめる神様」を作ります。
それから長い年月が過ぎ、健一は大人になりました。ある日、健一が子どもの頃に作ったねんどの神様に、不思議なことが起こります。「あんなに戦争を憎んでいた子どもも、大人になると考えが変わってしまうの?」そんな風に考えさせられる絵本です。衝撃の結末にも注目してください。
対比で直感的に理解しやすい「へいわとせんそう」

「へいわ」と「せんそう」が、見開きのページで対比されている絵本。「へいわ」のお父さんは子どもと遊んでいるのに対し、「せんそう」のお父さんは鉄砲をもって戦地にいます。「みかたのあかちゃん」と「てきのあかちゃん」には、実は違いがありません。モノクロで描かれるイラストと、簡単な言葉で構成されているので、小さい子どもでも「せんそうとへいわ」について理解しやすい絵本です。
身近なものを例に考える「せんそうしない」
ちょうちょうや金魚、ひまわりなど、子どもの周りにある身近なもの同士を例に、「せんそうしない」ものたちを取り上げてストーリーは展開していきます。優しい色彩で描かれるイラストが魅力的で、私の子どもも初めから食いついた一冊です。戦争を始めるのは大人なのに、始まってしまえば敵味方関係なく子どもたちも殺されます。「せんそうしない」と何度も声に出して読みたい絵本です。
命の重みを感じる一冊「ぼくがラーメンたべてるとき」
「ぼく」がラーメンを家で食べているとき、他の人は?世界の人は今どんなことをしているのか考えてみたことがある?そんな風に問いかけてくる絵本です。最初は「ぼく」や「ぼく」の周辺の日常が描かれていますが、徐々に視点は世界へ…。端的な文章で声に出して読みやすく、命の重みについて子どもから大人まで考えさせてくれる一冊です。
被爆80年に読みたい原爆に関する絵本4選
原爆に関する絵本を4冊紹介します。当時の広島の情景がまぶたの裏に浮かぶような絵本をピックアップしました。
魂のこもった切り絵と文章に注目「きり絵画文集 原爆ヒロシマ」
作者は、日本の兵隊の1人。救援のために広島に駆けつけ、被爆します。
この絵本では、原爆を受けた広島の人たちの絶望が、巧みな切り絵と真っ直ぐな文章で表現されています。この絵本で注目したいのは、作者が広島全体の惨状を俯瞰的に描いているのではなく、広島で原爆を受けた人たちを「個」として描いている点。前日までは元気に走り回っていたのに次の日には亡くなってしまった子ども、亡き我が子を背負って歩く若い母親、酷いケガを負いながらお互いを思いやる少年たち…。「被爆者」とまとめるのではなく、作者自身が広島で出会った1人1人を丁寧に描いているのが特徴です。「原爆で亡くなった人たちそれぞれに家族があり、歴史があり、思いがある」そんな思いを感じ、涙がこぼれて止まりませんでした。
※絵本ですが、かなり情景が丁寧に描かれており、文章が多いので、小さいお子さんと読む場合は保護者の方が読み聞かせるか、まずは切り絵を見せるのがおすすめです。
色彩の変化が生々しい「わたしのヒロシマ」

広島に原爆が落とされる前、主人公の「わたし」が友だちと遊んだり、家族で花火を見たり、そんな幸せな日常が鮮やかな色彩で描かれている場面から物語はスタートします。しかし、日本が世界を相手に戦争を始めたころから、日常はどんどん変化。そして、原爆が落ちた日を境に、今まで絵に使われていた鮮やかな色は姿を消します。澄み切った空にキノコ雲が広がり、一瞬にして広島のまちが鈍い色に包まれ、人々が苦しみにあえぎます。子どもの視点から見た惨状、原爆が落ちたときのリアルを見ることができる絵本です。
実際の被爆資料を写真と文章で「さがしています」
実際の被爆資料を「カタリベ」として紹介している絵本です。8時15分で止まってしまった時計や、炭化したご飯・緑豆が入ったお弁当箱、溶けてしまったビー玉。被爆資料1つ1つに持ち主がいて、持ち主の思いがこもっているのに、持ち主にはもう会えない。「カタリベ」たちの言葉から、原爆を受ける前までは生きていた人に思いを馳せる体験をさせてくれます。
絵本を読んで約束したい「やくそく ぼくらはぜったい戦争しない」
ばあちゃんは、中学生になった主人公のトオルを、原爆で亡くなってしまった「にいちゃん」と勘違い。いつも玄関でトオルを「にいちゃん」として出迎えます。ばあちゃんは、原爆で亡くなった「にいちゃん」に会えるのを心待ちにしていたのでしょう。しかし、どれだけ待っても、もう二度とにいちゃんは帰ってきません。トオルは、にいちゃんに代わって「戦争しない」と誓うのでした。トオルと一緒に、子どもと「せんそうしない」と声に出して読んでみましょう。
絵本を通じて親子でできること
2歳になったばかりの娘ですが、絵本を読む私の声にしっかり耳を傾け、絵をじっと見つめていました。しっかり内容を理解できているかは分かりませんが、絵本を見た経験は心に残ったのではないかと思います。戦争や平和、原爆に関する事柄は、言葉だけでは伝えにくい部分があると思います。しかし、絵本を通じれば親子で理解を深めることができるでしょう。被爆80年のこの機会に、ぜひ親子で絵本を読んでみては?
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担当ライター