ホストファミリー体験談①留学生の受け入れにワクワク!実際は…?

夏休み前の6週間、わが家はホストファミリーとしてカナダから来た15歳の男子留学生を受け入れました。素晴らしい体験になるだろうと思っていましたが、私たち家族は英語が話せるわけでもなく、初めての外国人の受け入れに戸惑うばかり。なかなかスムーズにはいきませんでした。一緒に生活して悩んだことや気持ちの変化、良い関係を築くまでをご紹介します。
留学生を受け入れた経緯とは?

出典:photoAC
カナダから来た15歳の男子留学生を受け入れました。期間は、カナダが夏休みになった6月下旬から7月末までの6週間。きっかけは、息子が通う高校でホストファミリーの募集があったことです。私は英語が話せるわけでもなく、受け入れは初めてでした。なぜ、受け入れを決断したかというと、かねてから英語に興味があり、日本に旅行に来る外国人に積極的に話しかける息子の姿を見ていたからです。学校から話があったとき、私は息子のためになると考え、すぐに受け入れを決意しました。
学校からの説明とわが家が期待したことは?
学校や留学支援団体から受けた説明は主に次のようなことでした。
・留学生は日本に興味・関心がある学業優秀な生徒
・寝る部屋と3食の食事提供が必要
・留学生にかかる費用は基本的にホストファミリーの負担
受け入れが決まると事前に留学生の資料や手紙を受け取りました。私は「大変だとは思うけれど、きっと留学生から刺激を受け、息子の人生観が変わるだろう、英語力が上がるだろう、楽しいホスト体験になるだろう」と不安よりも楽しみと期待が大きくなっていったのです。
留学生が実際に来て感じたこととは…?ちょっぴり後悔も
さて、待ちに待った留学生がわが家にやってきました。留学生は、平日は息子の通う高校に一緒に通学し、土日は家族と一緒に過ごします。期待していた留学生との生活でしたが、最初の1週間、私たち家族は途方に暮れることになるのです…。なぜかというと、留学生が次のような様子だったからです。

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・日本語が分からず、学校が面白くないと言う
・英語しか話さず、日本語を学ぼうとしない
・日本食は嫌いだと言って食べない
・日本について関心がある様子はない
・自分からは話をしない
・食事が終わるとすぐに自室にこもる
留学生は学校に馴染もうとせず、ホストにも心を開かず、自分の殻に閉じこもっているように見えました。そんな彼に、私たちは「一体何のために日本に来たのか」という気持ちが芽生えていました。留学生のために悩みながら食事の準備をして、部屋を掃除し、ゴミを捨て、洗濯をしているのに、こちらの気遣いに対する彼の態度にだんだんと嫌気がさしていきました。このままでは、彼のことが嫌いになる…という焦燥感を覚えはじめたのです。
アドバイスを受けて感じたこととは?

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悩んだ私は、いろいろな人に相談しました。アドバイスの中で多かったのは「遠慮のない国民性だから、こちらの考えをハッキリと伝えないとダメ」という意見。しかし、私も息子も「人に物事をハッキリと伝える」というのが苦手な典型的な日本人の性格。留学生に「日本語を話さず、日本食を食べないなんて、一体何をしに日本に来たの?」と言うことができません。しかも、私は英語が話せるわけではなく、うまく心の機微を伝えられる自信もありません。ただでさえ心を閉ざした留学生。こちらが下手な英語で強い発言をすることで、ますます自分の殻に閉じこもってしまうのではないかという懸念があったのです。この先、留学生と会話がなく、最悪なステイ先と思われるのはどうしても嫌で、どのように接するか悩みました。
留学生に少しずつ変化が…!
来日1週間が経った頃、学校で先生と留学生は面談がありました。その日、留学生は帰ってくるとお弁当箱を私に返しながら、「ありがとう、めっちゃ美味しかった」と笑って日本語で言ってくれたのです。さらにその夜、留学生は「今まで自分はカルチャーショックを受けていたけれど、自分は今日から変わる」と言ってくれました。後から聞いたところによると、先生は「今の状況に感謝できているか」という話をしてくださったそう。先生の言葉を素直に聞き入れられる留学生で良かったと感じました。この頃から彼に少しずつ変化が見られていったのです。
私たちホストにも変化が起きた
私たちホスト側も変化していきました。特に息子は「外国人は対等に意見を言い合えて初めて相手を認める」という先生のアドバイスのもと、思ったことは躊躇せずに留学生に伝えることを実践していきました。2週間ほど毎日一緒に過ごす中で、控えめな性格の息子も留学生にダメなことや嫌なことをハッキリ伝えられるようになっていきました。留学生は徐々に息子を理解し、認めていったのです。
良い関係を築くコツとは?
留学生は3週間も経つとよく話し、よく食べ、息子と仲良くなり、私と夫には感謝の気持ちを伝えてくれるようになりました。このような関係を築くまでには、留学生自身の努力はもちろん、私たちは特に次の2点に重きを置きました。

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・ありのままの留学生を受け入れること
・過度な期待を捨てること
来日前、私たちは、留学生は優秀で人間性も性格も申し分のない子だろうと期待していました。しかし、来たのは普通の15歳の男の子。しかも思春期で、少々反抗的な態度も見られました。当初、私はなぜ話をしてくれないのか、なぜごはんを食べないのか、なぜ面白くなさそうにしているのか…と悩んでいました。ですが私は途中から、相手を変えるのではなく、ありのままの留学生を受け入れようと考えを改めました。6週間という短い期間で15年築いてきた彼の性格が簡単に変わるはずはありません。わが家の型にはめることや日本スタイルを強要するのはやめようと決めました。
私たち家族が留学生にとって唯一の日本の家族
また、私の気持ちの根幹には、留学生本人にとって「私たちホストファミリー=日本の家庭の基準になる」という思いがありました。私たちホストに良くしてもらったと留学生が思えば、きっと留学生は「日本人は親切でいい人たちだ。日本はいい国だ」と思って帰国するでしょう。私は留学生に日本を好きになってほしい、本国に帰ったときに「日本はとってもいい国だったよ、いい人ばかりだったよ」と周りの人に伝えてほしいと思いました。私たち家族を気に入ってくれることこそ、彼が日本を好きになる第一歩だと考えたのです。そして、これは正解でした。留学生と私たちホストは信頼関係を築くことができ、結果、当初は言えなかったダメなことや言いにくいことを伝えられるようになったのです。
帰国、そして予想外のサプライズが…!

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帰国の日。空港には家族全員で見送りに行きましたが、意外とあっさりと帰国してしまった留学生。少し肩透かしを感じましたが、役目を果たしたと安堵しました。ところが、帰国した日の夜、留学生が使っていた部屋に忘れ物がないか確認していると、空っぽのタンスの中に手紙が…!そこには留学生から、私たち家族に向けた感謝の言葉がつづられていました。そして、「もし、また日本に留学することがあったら、絶対に僕はあなたたち家族を選ぶよ」と書かれていたのです。この手紙を読み、私たちホストの想いは伝わっていた、と報われた気持ちでいっぱいになったのでした。
大変…だけど貴重な体験&子どもの英語力はUP!
留学生の受け入れは、実に難しいものだと実感しました。食事の準備や日常のお世話など目に見える部分も大変ですが、国も文化も違う、言葉も十分に伝わらない、育ってきた背景も分からない人と気持ちを通わせることの難しさを実感しました。もちろん、留学生本人の性格や年齢、出身地によって関係性はまったく異なり、体験は人それぞれになると思います。大変な思いをしましたが、家族全員にとっていろいろな感情を味わった貴重な体験だったことに間違いありません。そして、最も良かったと思えることは、息子の英語力が格段に上がったこと。6週間、四六時中一緒に過ごしたので当然でしょう。留学生と息子は、冗談を言い合うほどになりましたし、寝言も英語になりました。帰国した現在も、彼との関係は続いています。興味がある方は、ぜひ受け入れを検討されることをおすすめします。
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