妊娠の喜びも束の間……深い悲しみから私を救ってくれた人と言葉

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全妊娠中、何割かのママが経験すると言われるお腹の赤ちゃんとの悲しい別れ。私自身、妊娠初期で稽留(けいりゅう)流産と診断されて手術を受けたひとりです。そんな私の大きな支えとなった家族、産婦人科のみなさん、そして同じ経験をした人のブログで見つけた言葉とは……?

喜びと不安がとなり合わせ……私の第2子妊娠経過

稽留流産と診断されるまで、私がたどった妊娠経過を振り返ります。

【妊娠5週】病院で正常妊娠が判明して喜びいっぱい

あるとき、市販の検査薬で妊娠が判明☆なんとこの周期は、重い腰を上げて第2子不妊の治療のため産婦人科に通院を始めた矢先でした。
これには先生もビックリ。超音波検査中に「無治療で授かるなんてラッキーだったねえ!うん、正常妊娠です」と言われて喜びをかみしめました。

【妊娠6週】胎嚢(たいのう)は確認できるのに、肝心の赤ちゃんが……

妊娠が判明した翌週の健診で、超音波検査中に先生が「赤ちゃんの姿が見えないね……」とポツリ。胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)はしっかり確認できるのに、肝心の赤ちゃんの姿がエコーに映りません。
これにはさすがに不安を覚えましたが、先生から
◆「この週数では映らないこともあるから、様子を見ましょう」と言われた
◆母子手帳についての説明もあった
ため、できるだけ悪いことは考えないようにして次の健診まで過ごしました。

【妊娠8週】ほかの病院でも同じ結果に

妊娠8週以降は広島市の自宅から私の実家に長期間帰省する予定だったため、紹介状をもらって地元の病院で引きつづき健診を受けることに。でも、相変わらず胎嚢が見えるだけで赤ちゃんの姿はエコーに映りませんでした。
また、この頃はわずかな出血があり、「赤ちゃんが外に出る用意をしているのかもしれない」と先生に言われてしまいます。さらにもう少しの間、様子見となりました。

【妊娠9週】“稽留流産”との診断→手術へ

前回の健診から1週間後、もう一度地元の病院で診察を受けましたが、結果は稽留流産(赤ちゃんがお腹に留まったまま亡くなっている状態)とのこと。その日に入院&手術が決定しました。

私を救ってくれた人と言葉(1)家族

診断された直後、私を励ましてくれた家族の言葉を紹介します。

深刻なシーンなのにちょっと笑ってしまった理系夫の言葉

流産と診断されたとき付き添ってくれた夫が、涙の止まらない私を静かな場所に誘導して抱きしめてくれました。
そのとき理系夫が言ったのは、
「残念だけど、これが“自然淘汰(しぜんとうた)”なんだよ」
という風変わりなコメント。
「えっ!?ここでダーウィン(自然淘汰説を唱えた学者名)!?」
と私はおかしくてちょっと涙がひっこんでしまいました。
夫はつづけて、
「つまり、赤ちゃんにもママにもまったく落ち度はなかったってこと」
「でも、赤ちゃんに会いたかったよね。俺もだよ……」
と言ってくれたのです。普段とても冷静な夫が、目に涙をいっぱいためながら……。

それまでは自分を責めてばかりでしたが、夫の言葉で「誰にも、どうすることもできなかったんだ」と腑に落ちました。

「その通り!」と的中した実母の言葉

実母のこの言葉にも救われました。
「赤ちゃんがお母さんに伝えたいことがあるから、わざわざ自分の身を挺してお腹に来てくれたんだよ。だから、絶対に何か意味があるはず」

実は流産の手術から数ヶ月後、私の健康不安が発覚したんです。結果的に大事には至らなかったのですが、妊娠していたら受けられない検査でした。赤ちゃんが「体をいたわってね」とメッセージをくれた気がしています。

私を救ってくれた人と言葉(2)産婦人科のみなさん

入院&手術でお世話になった、産婦人科のみなさんの言葉を紹介します。

手術へ前向きになれた主治医の言葉

暗い気持ちで入院した日、主治医の先生の
「お腹の中にいるままだと、赤ちゃんも苦しいかもしれない」
「お母さんが次の妊娠に備えるためにも、この子を外に出してあげよう」
という言葉が印象的でした。
胎嚢だけでまったく姿が見えなかったのに、赤ちゃんの存在を認めてくれたことが素直にうれしかったです。赤ちゃんのためにも手術を受けようと前向きな気持ちになれました。

入院&手術でお世話になった助産師さんたちの言葉

入院&手術で担当してくれた助産師さんたちは、数ある流産のひとつとして扱うのではなく、「本当に……ビックリされたでしょう」とまるで当事者のように悲しみを共感してくれたんです。
手術室に向かう前も、「ママとパパの準備ができてからでいいので」と病室の外で待機してくれて、お別れの時間をたっぷり作ってくれました。

私を救ってくれた人と言葉(3)同じ経験をしたブロガーさん

たまたま見つけた稽留流産を経験した人のブログに、
「一番悲しいのはママ。周りを気にせず、涙が枯れるまで泣いていい」
という言葉がありました。当時を振り返った今、心から共感できる言葉です。
「いつまでも落ち込んでたら家族が心配する」とか「私よりも辛い経験をした人もいるんだから」とか、流産を経験した直後にほかの人への気遣いは不要だと思います。私自身、自室にこもって思いきり泣くことで少しスッキリしました。

順調な妊娠経過ではなかったけれど……今ではいい思い出に

赤ちゃんとの別れから2年以上経った今、あのときの妊娠は悲しいだけの思い出ではありません。それは、自分のことのように胸を痛めたりサポートしてくれたりした周りの人の存在が大きかったから。赤ちゃんの存在とともに、あのとき出会ったやさしい言葉を私はきっと一生忘れません。

担当ライター

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