みんな違ってみんないい。豊かな心を育んでくれる「広島女学院ゲーンス幼稚園」

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「のぼろ、のぼろ、うしたのやまに。どんぐり栗の木待っている♪」今日も子どもたちによる元気いっぱいのかわいい歌声が聞こえてきます。大きな愛とたくさんの笑顔に満ちあふれたこの幼稚園の名前は、「広島女学院ゲーンス幼稚園」です。

広島女学院ゲーンス幼稚園の1日

自然の中で子どもたちがありのまま元気いっぱいに過ごせる場所、それが広島女学院ゲーンス幼稚園。まず、この幼稚園に通う子どもたちがどんなふうに過ごしているのか、広島女学院ゲーンス幼稚園の1日をご紹介します。

8時半、幼稚園の1日が始まります。ママやパパと一緒に徒歩でやってくるお友だち、園バスに乗って通園するお友だち。登園した子どもたちは、さっそく思い思いの自由遊びをはじめます。園庭を元気に走り回ったり、お絵かきや粘土遊びに夢中になったり…。荷物を置くのももどかしいぐらい。大好きなお友だちや先生と、今日は何をして遊ぼうかな?

10時半頃になったらお片付けをしてお集まりの時間。お祈りをしたり、みんなでいろいろなことを話し合ったり、お歌を歌ったり、先生に絵本を読んでもらったり。子どもたちの好奇心が満たされる時間です。「先生今日は何するの?」「先生、あのね、こんなことがあったんだよ」子どもたちは目を輝かせて先生のお話を聞いています。

月、火、木、金曜の11時半頃にはお弁当の時間です。愛情たっぷりのお弁当をみんなでおいしくいただきます!ご飯の前にはお祈りを忘れずに。感謝の気持ちを込めて小さな手を組み真剣にお祈りする子どもたちの姿はとても愛おしく、そして美しいです。

お弁当を食べ終わったら自由遊び。園庭で元気いっぱい遊んだり、教室でごっこ遊びを楽しんだりと、あちこちで子どもたちの歓声が聞こえます。ブランコやすべり台、ジャングルジムといった遊具たちも、子どもたちと一緒に遊べてなんだかとっても嬉しそう。

子どもたちは遊びを考える天才。おもちゃや遊具だけでなく、園庭にある大きな木や落ちている葉っぱ、木の枝など、なんでも遊び道具に変身させるのです。
自然豊かなこの幼稚園では、木々や草花もみんなお友だち。毎日泥んこになって遊んでいる子どもたちのキラキラ輝く笑顔は、何にもかえがたい宝物です。
水曜日は午前保育の日。11時頃におやつを食べて、11時半に降園です。

元気いっぱい遊んだらお片付けをして午後のお集まり。14時にさようならをして降園です。
どれだけたくさん遊んでも、遊び足りない子どもたち。「また明日、元気に会おうね」とお約束をします。
預かり保育は朝は7時半から、午後は18時半まで。こうして、幼稚園の1日は終わります。

ゲーンス幼稚園の歴史

園庭で、子どもたちを優しく見守ってくれている銅像があります。この人こそ、ゲーンス幼稚園の創設者、ミス・N・B・ゲーンス先生です。
明治19年に、アメリカ帰りの砂本貞吉牧師により創立された広島女学院。その翌年、ゲーンス先生はアメリカから来日し、校長に就任しました。かねてより幼児教育に関心を持っていたゲーンス先生は、明治25年、流川町(現在の上幟町)に女学院付属幼稚園を創設。これが、ゲーンス幼稚園の始まりです。
園では、遊戯の中にリズムを取り入れたり、当時大変珍しかった「スキップ」を指導したり、遊戯を保育の中心に置いた米国の進歩主義教育を導入していました。しかし昭和20年、幼稚園にも戦争の足音が近づいてきます。戦禍の中でやむを得ず休園した付属幼稚園は、同年8月、原爆のために全てを焼失しました。

しかし、それでも園の歴史は終わりませんでした。昭和37年、広瀬ハマ子学院長が園長となり、牛田山にある女学院大学の正門横に再び幼稚園を開園。同時に「広島女学院ゲーンス幼稚園」と改名しました。
その後、平成4年には、大学グラウンドの一角にある現在地へと移転。当時の園長である鈴木道子先生は、園内の自然環境の充実を促進し、平成15年、広島女学院ゲーンス幼稚園は全国学校ビオトープ・コンクールで「文部科学大臣賞」を受賞しました。

ゲーンス幼稚園の教育理念は「キリスト教精神に基づく幼児教育」

・子ども1人ひとりが、神様に愛されたかけがえのない存在である。そのことを子どもたち自身が知り、「自分は受け入れられているんだ」ということを感じること。
・身近な自然や環境と子どもたちの関わりを通して、健康な心と身体を育み、豊かな情操を培うこと。
・子どもが互いの個性の違いを認め、共に成長しあうこと。

この3つを教育目標として掲げるこの幼稚園は、広島で最も古い歴史を持っているのです。

みんな違って、みんないい

「ありのままの私たち、ありのままの子どもたちを神様は愛してくださる」
この幼稚園で何度となく聞く言葉です。この言葉通り、子どもたちは大きな愛に包まれて、自分らしく、のびのびと過ごすことができます。

生まれて初めて、家庭を飛び出し広い世界に飛び出す3歳児は、まるごとの自分を安心して過ごせる場として。
少しずつ集団生活になれてきた4歳児は、お友だちや周りの人との意見のぶつかり合いを経験し、互いの個性を認め合って許し合うことを覚える場として。
経験を積み重ねた5歳児は、園生活そのものを自分で創造し、仲間や先生たちとの信頼関係を築く場として
ゲーンス幼稚園は子どもたちをしっかりと受け止めてくれています。

子どもたちが生き生きと輝く場所は、園庭や教室だけではありません。園庭の奥にあるフェンスの扉を開けば、緑豊かな木々が広がる「ぼうけんのもり」があります。四季折々の草花や生き物の姿を間近に触れることができる、素敵な場所です。
子どもたちはここで、自然との共生や自然の優しさ、厳しさを「遊び」を通して学びます。

ゲーンス幼稚園の園歌にはこんなフレーズがあります。
「むしも はなも あめも かぜも おひさまもみんな なかよしだ」
そう、ゲーンス幼稚園では生きとし生けるもの全てが「お友だち」であり、「せんせい」なのです。
ちなみに、園歌を作詞したのは絵本「ぐりとぐら」でおなじみの児童作家「中川李枝子」さんです。

ゲーンス幼稚園の園長、高田憲治先生はこのように語ってくださいました。
「どの子も、その子らしくある…。これって決して簡単なことではないんです。でも、それを実現したい。ゲーンス幼稚園は、子どもたちのありのままを受けとめている。ゲーンス幼稚園ってそんな幼稚園であり、これからもそうあり続けたいと思っています」

筆者の娘も広島女学院ゲーンス幼稚園で3年間を過ごしました。本当に愛にあふれた充実した3年間だった、と今振り返っても胸が熱くなります。
「幼稚園で子どもたちは何を学びましたか?」誰かに聞かれると、筆者はこう答えるでしょう。

「はい、子どもたちは、広島女学院ゲーンス幼稚園で『愛されること』を学びました」

ありのままの自分を受けいれてもらうこと、「君はそのままでいいんだよ。そのままの君が大好きだよ」そう言ってもらえることは、子どもたちにとって何よりの勇気になります。
この先、小学校、中学校、高校、大学、そして社会へ…。先行きの見えない大きな人生という海を旅していく子どもたち。ときに荒波にもまれ、ときに方向を見失うこともあるでしょう。
でも、大丈夫、きっと大丈夫。そう思えるのです。
なぜなら、愛されることを知った子どもは、優しく、そしてたくましく生きていける。ゲーンス幼稚園で育った子どもたちをみると、心からそう思えるのです。

子どもたちが安心して過ごせる場所

「うちはキリスト教じゃないんだけれど、大丈夫かな?」そう思っているママもいるかもしれませんね。大丈夫ですよ。先生たちは、「ようこそ」と両手を広げて迎え入れてくれます。
幼児期の大切な3年間を、充実して過ごせる…広島女学院ゲーンス幼稚園ってそんな幼稚園なんです。

住所

〒732-0063 広島県広島市東区牛田東4丁目13−1

電話番号

082-228-6635

ホームページ

https://www.hju.ac.jp/~gensuyo/

担当ライター

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